みなさまから寄せられるユニバーサルデザインに関してのよくある質問集です。
分野によっても違いますが、まず何をするかよりも、何の目的でUDを導入するのかをきちんと整理する必要があります。
CSR(社会貢献)として取り組むのか。革新(イノベーション)のひとつの方向性として取り組むのか。UDは、方向性によって採用すべきプロセスも、やるべきことも大きく異なります。
もしそのあたりも流動的な状態でしたら、それこそ、UD担当者としての仕事は明確です。まず取り掛かるべき仕事は、UDのガイドライン化でも、指標化でもなく、UDの方向性にはどのような可能性があるのか、複数の案を社内へ提案することです。このプロセスは、今後の仕事をスムーズにするためにも、最も重要な仕事となります。
そのためには、まず、ご相談者の方自身が、UDの知識やUDの進め方に関して、講習会やシンポジウムなど色々な会に参加されてはいかがでしょうか?もちろん、資格を取得するなど、一度体系的に勉強し、ノウハウなどを体得しておくことも良いでしょう。
UDは使い方によっては、色々な問題を解決するカギとなりますし、更なる顧客獲得、ブランド力向上にも大きく貢献します。一方、ただやみくもに取り組むだけでは、様々なリスクがあることも事実です。何事にも光と影がございますから、そういったことを理解しておくことは、UD担当者としての大事な役割でもあります。
UDを配慮されて開発された製品には、自社UDマークがつけられているものがたくさんあります。自社UDマークの基準は様々です。企業や団体によって、その意味が大きく異なりますので、詳しくは直接お問い合わせいただくと良いと思います。当機構の認証マークについては、検証済・使いやすさ認証制度のご案内をご覧ください。
参考として、経済産業省で「UD製品の指標化・性能表示調査委員会」が設置され、数ヶ月にわたり議論が行われました。当機構の理事長も委員として参加し、2007年3月に報告書という形でまとまっていますので、国会図書館などで閲覧されてみてはいかがでしょうか?経済産業省製造産業局デザイン・人間生活システム政策室でも受け付けているようです。
特に研修などを全社的に行っていない場合、UDに対するイメージは、人によって様々です。そのため、UDをこじつけのように感じてしまう人もいます。しかし、その多くはイメージからきている誤解がほとんどですので、ひとつひとつ丁寧に説明すれば、必ず道は開けてくると思います。まずは、なぜ、反対しているのか、UDとはどのようなものだと思っているのか、直接確かめてみてはいかがでしょうか?
バリアフリーという言葉にすべきか、ユニバーサルデザインという言葉にすべきか、という点については、どちらの言葉が良いというよりは、御社のされている活動内容によって、判断されることが望ましいと思います。実際の内容がバリアフリーの取り組みなのに、ユニバーサルデザインといってしまったり、逆にユニバーサルデザインの取り組みなのに、バリアフリーといってしまったり、ということは利用者の方にとって不信感につながる事例も報告されています。どちらの言葉も、より良い社会には欠かせない言葉です。御社が本当に伝えたいことが、よりダイレクトに伝わる言葉を選択できると良いですね。