ユニバーサルデザインが顧客に与える影響、従業員に与える影響
関連分野:保険、印刷、建築、空間デザイン、サービス、医療、旅客業、経営
2008年4月1日
オーストラリアの保険会社では、顧客の記入ミスを防ぐために申込書のデザインを見直し、顧客満足度を向上しただけではなく、従業員の負担も減り、年間約5000万円のコストを削減しました。従来の申込書は記入しにくかったので、一件につき平均7.8箇所の間違いがあり、社内スタッフが一件につき1時間以上かけてその間違いを訂正していたのでした。
ユニバーサルデザインと聞くと、とかく利用者やお客様に対して目がいってしまいがちですが、実はそこで働いている職員にも大きなメリットがあることも少なくありません。
例えば、大都市での地下鉄の乗換えで迷われたことはないでしょうか?誘導のサインを良く見ているつもりでも、なかなか目的地にたどり着かないという声をたまに耳にします。こんなときは、そばに居る駅員さんに聞くことになりますが、ほとんどの場合、親切に教えてくださいます。ですから、あまり問題にならないのですが、ここで、UDの考え方でできるだけ多くの方にわかりやすい案内表示や方法を取り入れるとどうなるでしょうか?
今まで迷っていた人が、自分の力で目的地にたどり着けることはもちろんですが、今まで道案内に時間がとられていた駅員さんが本来の業務に専念してサービスの質が上がる可能性があります。
また、場合によっては、配置人員を少なくすることができ、コストの削減が可能になり、経営的にもプラスになる可能性があります。
つまりユニバーサルデザインは、誰かのために誰かが犠牲になる考え方ではなく、サービスを受ける方はもちろん、サービスを提供する方にも、経営する方にもメリットがある考え方なのです。