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コラム

 

安全対策とユニバーサルデザイン(1)

関連分野:安全対策、誤使用、誤認、エラー、事故、危険

2009年1月5日

安全対策とユニバーサルデザインや使いやすさへの対策は、企業内でも別の部署で扱っていることが多く、概念の上では深いかかわりがあることはわかっていても、実際の活動では別々になっていることが多いと思います。

今回は、具体的な対策の実施という視点から、ユニバーサルデザインと安全対策の関係性について、基礎的ですが重要なお話をしたいと思います。

「安全対策」と一言に言ってもその概念は広く、様々な考え方がありますが、「対策を実施する」ということに焦点を絞ると、大きくは3つの視点があると思います。

まず一つは、過去の経験を元にまとめられた法律、安全基準やガイドラインを遵守するということです。コンプライアンスという言葉が日本でも浸透していくにつれ、この点については多くの企業が社員教育などにも力を入れ、本腰を入れて取り組みを行っています。昨今話題となりました賞味期限偽造、産地偽造、耐震強度偽造などの問題については、この法令順守、安全基準やガイドラインへの取り組み−会社としての仕組みづくりと社員教育−といったことが効果を発揮します。

2つ目は、発売前、利用開始前には予期できなかった、利用者の誤認や誤使用による危険や事故が起きたときの再発防止です。1つ目に挙げたような、安全基準やガイドラインを遵守していても、事故や危険が起きてしまうことがあります。なぜでしょうか。ガイドラインや安全基準は、過去の事故や実験を元に作られますから、新機能、ほかとは違う特性や素材、技術の進歩などには対応できないということが少なくないのが現状です。また、商品の普及や販売戦略により、商品が開発されたときには想定しなかった利用者や利用状況が引き起こす事故もあります。

こうした危険や事故に対して、対処療法や精神論では“もぐらたたき”的状況を打破することが難しいときにも、UDの考え方とUDの技術を活用することで、根本的な原因を多角的に検証し、解決や改善を行うことができます。

3つ目は、非常時の安全を確保することです。通常であれば起きないが、例えば災害などでパニックになっているとき、あるいは、複数の条件が重なり通常は事故につながらない行為が事故につながる状況になったときの対策をすることです。以前、コラム「UDで、本当に役立つ防災対策」で取り上げたような災害時の避難経路の確保などはここに分類されます。また、実際の利用者ではないはずの赤ちゃんが誤飲するなど、実際の利用者以外の周りの人が巻き込まれるケースもここに分類されます。

今までは1つ目に挙げたような安全対策が主流でしたが、2つ目3つ目に挙げたような安全対策の必要性が高まっています。これは、製品や建物、サービスが複雑化したこと、そして、提供方法も多様化してきたことが、提供者の管理を難しくし、さらに、利用者の誤認や誤使用を誘発するようになってきたこと、そして、利用者の知識や経験だけでは事故を防ぐことが難しくなってきたことが原因のひとつです。このことは、社会の思想にも変化をもたらしました。以前は、従業員の不注意やミスは会社の責任、個人の不注意やミスはその人個人の責任と考える風潮がありましたが、その考えも少しずつ変わってきました。

具体的な対策については、次回以降、詳しく取り上げていきたいと思います。

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