介護とユニバーサルデザイン
関連分野:介護 ユニバーサルデザイン
2009年10月1日
要介護状態の方の「できないこと」を「やってあげるのが介護」。そう考えている介護者の方は少なくありません。
しかし、ユニバーサルデザインの視点で介護を考えるということは、「できないことによる問題」を「解決する」のが介護、という風に捉え方を変えることから始まります。そうすると、「してあげる」という選択肢以外にも、色々な手段があることが見えてきます。
「道具を使って自分でできるような環境を整える」という方法も一つです。「道具を使って」というと、どんな道具がいいですか、とよく聞かれることがあります。しかし、どんな道具が必要で、実際使ってみて効果的かは、その人の状態、室内環境、好み、習慣によって大きく変わります。
ここで何より重要なことは、介護を必要とされている方の生活を観察することによって、生活上の困難を「誘発する要因」が「モノや環境」にあることが多いことにまず気付くことです。
この「誘発する要因」を発見し、解決するように介護をデザインすると、介護を必要とされる方が、自分でできることはとても多くなるのです。できるだけ自分で出来るようになると、介護をされる側の方にとっても、もちろん良いことですし、介護する方の「全てをしてあげないといけない」という思い込みが、身体的にも心理的にもお互いに、負担を引き起こしている場合がありますので、この負担が随分軽減されます。
自分は何もできない駄目な人だと落ち込んでいたおばあちゃんが、自信と元気を取り戻して前向きになった。夫と介護のことでけんかすることがなくなった。等、ユニバーサルデザイン視点で介護を自分たちに合わせてデザインをしていくと、一番驚かれるのが、人間関係や心理的負担が改善することです。
「介護のやり方をもっと快適にデザインする」という方向性で、ユニバーサルデザインを介護に取り入れることが、これからもっと広がることが重要だと思います。