使えそうで使えないもの
関連分野:公共交通機関 建築物 公共事業
2010年7月1日
最近の交通機関や新しい建築物では、バリアフリー対応が進み、以前よりも多くの工夫を発見することができます。
しかし、実際にケガや障がいによって、車椅子や松葉づえを初めて体験した人は、思った以上に生活上の制約が多く、実際には「使えそうで使えないもの」がとても多いことに驚きます。
生活上の移動の制限は、あらゆる事に影響します。仕事、ショッピング、趣味、旅行等、場合によっては諦めなければならない場面も多々あります。これから益々高年齢化は進み、車椅子やシルバーカー、シニアカーが当たり前に街中を無理なく移動できる事は、生きていく上でとても重要です。
「コンクリートから人へ」という一見耳ざわりの良い言葉によって、使えそうで使えないものがそのままで良いわけではありません。
本当の意味で利用者として困るという体験がないと、様々な人への使いやすさやわかりやすさを、思いやりの問題といった抽象的な意味に感じてしまいがちです。様々な人への使いやすさを、概念的に取り組むのではなく、もっと根拠を持って確実なカタチで作りこんでいくことが重要です。
本当の意味で、提供者視点では無い、実際の利用者が本当に使いやすい、使えるものを実現していくことが最も求められる分野が、公共事業です。あらゆる人の生活に影響を与える分野であるからこそ、これからの取り組みに期待したいと思います。